はじめに
2026年7月、美容業界でちょっと見逃せないニュースが重なった。12歳の創業者、ゼンダヤのアイシャドウ、そして世界4都市が手を組んだサステナビリティ連合。スケール感がバラバラに見えて、実は同じ方向を向いている気がする。それは『誰が、何のために美容を定義するか』という問いだ。
重要ポイント1: 12歳CEOが示すGen Alphaの消費行動
Stella Dorazioがスキンケアブランド『Stellar Beauty Co.』を立ち上げたのは、もともと9歳のときの学校課題がきっかけだったという。Beauty Independentの報道によると、SephoraにハマるティーンやトゥイーンがSNSで可視化される中、彼女は『自分と同じ年齢の子のための』プロダクトを作ることにした。
ここで個人的に引っかかるのは、ターゲットが『大人に憧れる子ども』ではなく、『自分たちのための美容』を求めているという点。Rare BeautyやGlow Recipeが若年層に刺さった理由と同じ文脈がある。
- Gen Alphaは2010年以降生まれ。最年長でもまだ16歳前後
- Sephora Youth問題として一時炎上した『子どもの高機能スキンケア使用』と表裏一体のトレンド
- ブランドの安全性・成分のクリーンさへの訴求は、保護者層の購買承認を得るためにも不可欠
要確認だが、Stellaのブランドがどの成分基準をクリアしているかは現時点で詳細不明。肌がデリケートな低年齢層向け製品のFDA規制への適合状況は、今後チェックが必要なポイントになる。
業界全体で見ると、これはニッチな話じゃない。2030年にかけてGen Alphaが購買力を持ち始めたとき、彼女たちはすでに『ブランドを作る側』の経験者世代になっている。その消費行動は、受動的なトレンドフォロワーとはまるで違う構造を持つはず。
重要ポイント2: ゼンダヤがアイシャドウを『再発明』した理由
Allureのレポートによると、映画『The Odyssey』のプレミアで披露したゼンダヤのソフトパステルアイシャドウルックが、メイクファンの間で爆発的な反響を呼んでいる。
ここ数年、スキンケアに主役の座を明け渡していたカラーコスメ。特にアイシャドウは『時間がかかる・落ちる・難しい』という三重苦で敬遠されていた印象があった。それがゼンダヤ効果で一気に再注目されている。
ただ、今回のトレンドが面白いのは方向性だ。ドラマティックなスモーキーアイではなく、ソフトでパステルな色使い。スキンミニマリズムの延長線上にある『目元だけポイント』という発想で、クリーンビューティーとの親和性が高い。
- パステルカラーはナイアシンアミド配合の明るいベースメイクとの相性がいい
- 単色使いやグラデーション不要のシンプルな塗り方が、Z世代・Alpha世代に受け入れられやすい
- K-Beautyで流行した『物語のある目元』の流れとも接続できる
セレブ効果に懐疑的な見方もあるけれど、ゼンダヤがトリガーを引くタイミングはいつも計算されているように見える。『Euphoria』でのグリッターアイが若年層のメイクを変えた実績があるだけに、今回のパステル推しも無視できない。
重要ポイント3: ファッション都市連合とサステナビリティの実装フェーズ
WWDの報道では、ロンドン・ミラノ・ドバイ・シンガポールがパリ発のParis Good Fashionを旗手に、サステナビリティ推進のグローバル連合を結成したと伝えている。
これは宣言レベルの話ではなく、研究と戦略実装を具体的に連携させるフェーズに入ったという点が重要。東京がこの連合に含まれていないのは少し気になる(要確認)が、J-BeautyやJ-Fashionブランドにとっても無関係ではいられない動きだ。
サステナブルパッケージ・循環型素材・カーボンフットプリントの透明開示、この3点が国際標準になっていく流れは加速している。日本の美容・ファッション企業が今後グローバル展開を考えるなら、この連合が設定する基準値は参照必須になる可能性が高い。
クイックトピック: Sun-Inが帰ってきた
Allureの記事によると、1970年代の定番ヘアライトナー『Sun-In』が再ブームを迎えている。面白いのは、その『不確実性』と『オフライン体験』がむしろ魅力として語られているという点。
仕上がりが読めない、太陽光と時間が必要、スマホを置いてビーチにいる時間が必要——デジタルネイティブ世代が逆に求める『非効率な豊かさ』として機能している。パーソナライズドAI診断と真逆の魅力。両方が同時に存在できる市場って、なかなか健全だと思う。
まとめと今週のアクション
今週の動きを俯瞰すると、美容市場の多層化が鮮明になってくる。12歳が作り、12歳に売る。セレブが復権させる。都市が連携して基準を作る。ノスタルジックな不確実性を楽しむ。
- 業界関係者へ: Gen Alpha向けブランドの成分安全基準と保護者層へのコミュニケーション設計を今から考えておく価値がある
- 美容愛好家へ: ゼンダヤのパステルアイシャドウ、試すなら単色・淡い発色のものからが入りやすい
- ブランド担当者へ: ファッション都市連合のガイドライン動向を定期モニタリングしておくと、数年後の基準対応で後手に回らずに済む
次週もこの角度で業界の地殻変動を追っていく。
出典: Beauty Independent / WWD / Allure / WWD Sustainability / Allure Sun-In


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