はじめに
5月最終週、マーケティング界隈でじわじわと話題になっているのが『CMOの75%がAIスキルギャップに苦しんでいる』という調査結果だ。数字を見た瞬間、他人事じゃないと感じた人も多いんじゃないかと思う。今週はその話を軸に、アパレル大手のAmerican Eagleが下した戦略的な決断と、GoogleがひっそりテストしているAI広告の新機能を絡めながら、日本のマーケターにとって何が示唆されるかを整理してみる。
重要ポイント1: CMOの75%がAIスキルギャップに直面中
Marketing Weekが2026年5月末に報じた調査によると、シニアマーケティングリーダーの4人に3人が、AI・データ・アナリティクス領域でのスキル不足を深刻な問題として認識している。(出典: Marketing Week)
注目したいのは、これが『現場スタッフの話』ではないという点だ。CMOレベルがスキルギャップを感じているということは、戦略を描く側が道具の使い方を把握できていない状態を意味する。これはけっこう根深い。
チームにAIツールを導入しても、リーダーが評価軸を持っていなければ、投資効果の判断ができない。エージェンシーへの丸投げが増え、インハウスのノウハウが育たない。そういう悪循環が各社で起きているんじゃないかと推測できる。
実際にやるべきこと(私見込み):
– AIツールの評価基準をCMO自身が言語化する(感覚ではなくKPIで)
– エージェンシーから『AIで何をやっているか』の説明責任を定期的に求める
– チームの中に『AIリテラシー担当』を置くより、全員が最低限の読解力を持つことを優先する
ただし、この調査の具体的なサンプル数や調査対象地域については原文の確認を推奨する(【要確認】: Marketing Week原文)。
重要ポイント2: American Eagleが『ブランドよりコンバージョン』に舵を切った
アメリカのアパレルブランドAmerican Eagleが、売上の低迷を受けてマーケティング投資をパフォーマンス寄りに再配分すると発表した。具体的にはデジタル広告とインフルエンサーマーケティングへの比重を高め、直近のバックトゥスクールシーズン(夏〜秋)でのコンバージョン獲得を優先する方針だ。(出典: Marketing Dive)
個人的にこのニュースが気になるのは、背景にある判断構造の話だ。売上が落ちたとき、多くのブランドがまず『ブランディング予算を削る』という選択をする。短期で数字が出やすいパフォーマンス広告に寄せるのは経営的には合理的に見えるが、それは中長期のブランド資産を少しずつ削る行為でもある。
インフルエンサー活用についても同様で、コンバージョン目的で使うのか、ブランドの文脈を広げるために使うのかで、起用するクリエイターの選び方が全然違ってくる。American Eagleがどちらのアプローチを取るのかは、今後の動向を見る必要がある(【要確認】: 具体的なKPI設計や起用クリエイターの方向性は未公表)。
日本ブランドへの示唆としては、短期・長期の予算バランスを常に『割合で管理する』習慣が有効だ。例えば『パフォーマンス60%・ブランド40%を下限とする』といったルールを社内で明示しておくと、危機時に感情論で全振りするリスクを減らせる。
重要ポイント3: GoogleがAI MaxにブランドサーチのON/OFFを追加テスト中
Search Engine Landの報道によれば、GoogleはAI Maxキャンペーン内で、ブランドキーワードのサーチと非ブランドサーチを分離してコントロールできる機能をテストしているという。(出典: Search Engine Land)
これが何を意味するかというと、これまでAI Maxでは『Googleが最適と判断したトラフィック』に幅広く入札が拡張される仕様で、意図せずブランドワードに広告費が使われるケースが課題だった。新機能が正式ローンチされれば、ブランドキーワード防衛(競合が自社ブランド名で入札してくるケースへの対策)と新規獲得施策を明確に切り分けた予算管理が可能になる。
まだテスト段階なので正式な仕様・提供時期は不明(【要確認】: Googleの公式発表を参照のこと)。ただ、日本のSEMチームとしては今のうちにブランドキーワードの広告費比率を把握しておくことをすすめる。正式ローンチ後に設定を最適化するための比較データが取れるから。
今週のクイックデータ: 5月の数字3つ
Marketing Diveがまとめた5月の注目数字から、特に気になった点を拾っておく。(出典: Marketing Dive)
- Kraft Heinz: マーケティング投資がROIとして数値化されたケース(具体的な数値は原文参照・【要確認】)
- Netflix広告枠: 広告スレート(出稿メニュー)が拡張中。日本での提供状況は未確認だが、動向は追う価値がある
- AIレディネス指標: 企業のAI準備状況を測る指標が注目されはじめている
特にNetflixの広告枠拡張は、Z世代・ミレニアル向けのリーチ手段として今後無視できない話になるかもしれない。
おまけ: PepsiのサッカーキャンペーンはなぜTV的なのか
PepsiがBBDO・Copa90と組んでDavid BeckhamやMemo Ochoaを起用した『Soccer Deserves Pepsi』キャンペーンを展開している。(出典: Marketing Dive)
内容としては王道の大型ブランドキャンペーンだが、注目したいのはサッカーという軸の選び方だ。北米では2026年のFIFAワールドカップ開催を控えており、ここにBig Betを張るのは自然な流れ。ただ日本のブランドが参考にするとしたら、スポーツIPを使ったキャンペーンにおける『ブランドのパーパスとの接続』が鍵になる。有名人を並べるだけでは今の生活者には刺さりにくい。
まとめと今週のアクション
今週のニュースを貫くテーマは、実は一本に繋がっている。『AIを使いこなす組織になれているか』という問いだ。
CMOのスキルギャップも、American Eagleの予算転換も、GoogleのAI Maxの進化も、すべて『人間がAIをどう制御するか』という構造の話に行き着く。ツールの話だけしていると見落としがちだが、本質はチームの能力設計とリーダーの判断軸にある。
今週やってみてほしいこと:
1. 自社のマーケティング予算でAIツール関連の支出がどの程度を占めているか、数字で把握する
2. チームメンバーに『今一番使っているAIツールと、その評価基準』を聞いてみる
3. Google Adsを運用しているなら、AI Maxの設定状況とブランドキーワードへの配分を確認する
派手なキャンペーン事例よりも、こういう地味な棚卸しが今は効く。そう思う。
本記事の情報は各出典の公開情報に基づきます。数値・施策の詳細は原文および公式発表をご確認ください。
🛍️ 本日のおすすめアイテム
【送料無料】マーケティング・ビジネス実務検定 アドバンスト版テキスト/国際実務マーケティング協会/編
価格: 4,400円


コメント